ChatGPT Search、GoogleのAI による概要(AI Overviews)やAIモード、Microsoft Copilotなど、検索結果そのものがAIによって組み立てられる場面が増えています。
その中で、「Google検索には出ているのに、AIではほとんど引用されない」という相談も今後増えていくと考えられます。
そこで最初に思いつきやすいのが、GEO(Generative Engine Optimization)です。
「llms.txtを用意した方がいいのか」「AI専用のSchemaが必要なのか」「ChatGPT向けに文章を書き直すべきなのか」と考えるかもしれません。
しかし、その前に確認したいことがあります。
AI検索で使われるためには、まずページが見つかり、内容が理解され、その質問に対して役立つ情報だと判断される必要があります。
つまり、問題は単純な「AI向けSEO」ではなく、サイトそのものの構造や情報設計にある場合があります。
AI検索では、ページだけでなく「答えの根拠」が探される
従来の検索は、基本的には「この質問に対して、どのページを見せるべきか」を考える仕組みでした。
生成AIを利用した検索では、それに加えて、
「この質問に答えるために、どの情報を根拠として使えるか」
という問題が重要になります。
Googleは、AI検索でも通常のSearchインデックスとランキングシステムを利用し、必要に応じてRAG(Retrieval-Augmented Generation)やquery fan-outと呼ばれる仕組みで、元の質問から複数の関連検索を生成して情報を集めると説明しています。 [1]
Microsoftも同様に、従来の検索では「どのページをユーザーに見せるか」が中心だったのに対し、AIのグラウンディングでは「どの情報を回答の根拠として責任を持って使えるか」が重要になると説明しています。 [2]
この違いは小さくありません。
たとえば、
「東京でBtoBサイトをリニューアルしたい。UXだけでなく、実装やアクセス解析まで相談できる会社を探している。」
という質問があったとします。
AIは「Web制作会社 東京」という1つの検索語だけを見る必要はありません。
BtoB対応、UX、開発、GA4、実績、所在地など、質問を構成する複数の要素について情報を探し、それを組み合わせて回答することができます。
そのとき、単に検索順位が高いことと、回答の一部を支える情報として使いやすいことは同じではありません。

AI検索に出ないとき、まず4つの段階を切り分ける
「AIに出ない」という状態だけでは、原因は分かりません。
私たちは、少なくとも次の4つを分けて考える方が実務的だと考えています。
1. そもそもアクセスできていない
最も基本的なのは、Crawlerがページにアクセスできるかどうかです。
robots.txtだけではありません。
CDN、WAF、Bot Protection、Firewallなどの設定によって、検索CrawlerやAI関連Crawlerまで誤って遮断されることがあります。
ChatGPT Searchについて、OpenAIは公開サイトであっても、コンテンツを検索結果の要約や引用に含めたい場合はOAI-SearchBotをブロックしないことを案内しています。 [3]
つまり、セキュリティを強くすれば良いというだけではありません。
悪意のあるBotは止めながら、必要なCrawlerは通す。
この設計が必要になります。
2. 情報はあるが、関係性が分かりにくい
次によくあるのが、情報そのものは存在するのに、サイト全体で整理されていない状態です。
たとえばクリエイティブ系のポートフォリオでは、
クライアント名、完成画像、モックアップ、作品を見るボタン。
それだけでデザインの質は伝わるかもしれません。
しかし、機械側から見ると、
何を依頼されたのか。
何を担当したのか。
Web Designなのか、UI/UXなのか、実装まで含むのか。
どの市場を対象にしたのか。
どんな課題を解決したのか。
結果はどうだったのか。
といった関係がほとんど説明されていない場合があります。
BingはAI検索向けのガイダンスで、曖昧さを減らし、テキスト・画像・動画が同じEntity、Product、Conceptを一貫して表すよう推奨しています。 [4]
これは文章量を増やせという意味ではありません。
人間なら画面を見て推測できる情報も、必要な部分は言葉として明示する。
ということです。
3. 正しいが、他のサイトとほとんど同じ
技術的な問題がなくても、引用されにくい理由があります。
内容があまりにも一般的な場合です。
「Webサイトを持つ5つのメリット」
「UXが重要な理由」
「2026年のWebデザイン7つのトレンド」
内容が間違っているとは限りません。
しかし、同じ情報は何千ものサイトに存在します。
そして現在では、生成AI自身もその程度の内容であれば数秒でまとめることができます。
Googleは2026年のAI検索向けガイドで、non-commodity contentという考え方を明確に打ち出しました。 [1]
既存情報をまとめ直すだけではなく、実際の経験、独自の分析、専門的な視点、一次情報など、他のページや生成AIが簡単には再現できない価値を提供することを勧めています。
たとえば、
「LPを改善する10の方法」
よりも、
「BtoBキャンペーンを開始する前に、90日分のGA4とClarityを確認して分かったこと」
の方が、その会社にしか提供できない情報になりやすいでしょう。
データ。
判断。
失敗。
比較。
プロセス。
結果。
AI検索が増えるほど、こうした実際に経験した情報の価値はむしろ高くなる可能性があります。
4. 自社サイトと外部情報が一致していない
企業についてAIが理解するとき、自社サイトだけが情報源になるとは限りません。
Business Profile、Bing Places、業界ディレクトリ、SNS、外部記事、レビューなど、さまざまな情報が存在します。
ここで会社名、所在地、サービス内容、営業時間、URLなどがバラバラになっていると、Entityとしての理解が難しくなります。
Bingは特にLocal Businessについて、住所、営業時間、連絡先などを最新の状態に保ち、Bing Placesを利用して正確な情報を維持することを推奨しています。 [4]
GoogleもBusiness Profileなどの情報を最新にすることを、AI検索を含むSearchの基本として挙げています。 [1]
ここでも重要なのは、「AI用の特別な情報を大量に作る」ことではありません。
すでに公開している情報同士が矛盾しないことです。
GEOでよく語られる「特別対策」は、本当に必要なのか
AI Searchが注目されるにつれて、GEOやAEOという言葉も増えました。
新しい分野なので、すべてを否定する必要はありません。
一方で、Googleは2026年5月に公開した公式ガイドで、いくつかの誤解をかなり明確に否定しています。
Google Searchについては、llms.txtを作る必要はありません。
GoogleはこのファイルをSearchで利用しておらず、設置してもGoogle SearchでのVisibilityやRankingにプラスにもマイナスにもならないと説明しています。 [1]
AI用に文章を細かく「chunking」する必要もありません。
Googleは、AIに理解させるためだけにコンテンツを小さな断片へ分割する必要はなく、理想的なページ長も存在しないとしています。 [1]
AI専用のSchemaもありません。
Structured Dataは引き続き重要ですが、AI OverviewやAI Modeに入るための特別なSchema.orgマークアップは存在しません。 [1]
つまり、Structured Dataは「AIに選ばれる魔法の設定」ではありません。
Organization、Article、Breadcrumbなどの関係を機械に分かりやすく伝えるためのSearchの基礎インフラとして使うべきものです。
GEOを考えること自体が問題なのではありません。
問題なのは、GEOをLLMを攻略するための小技の集合として扱うことです。
SEOは土台。ただし「順位」だけでは足りない
では、従来のSEOはもう必要ないのでしょうか。
むしろ逆です。
GoogleはAI による概要やAIモードについて、従来のSearch ranking・quality systemsを基盤としており、AI機能に表示されるためにもページがGoogle SearchにIndexされ、通常のSnippetを表示できる状態であることが必要だと説明しています。 [1]
Microsoftも、AIのGroundingは従来のSearch infrastructureを置き換えるのではなく、その上に構築されていると説明しています。 [2]
したがって、
Indexing。
Canonical。
Internal Links。
JavaScript rendering。
Sitemap。
重複コンテンツ。
Page Experience。
などに大きな問題があるサイトに、GEOだけを追加しても根本的な解決にはなりません。
ただし、SEOの基礎が整っていれば、それだけでAIから引用されるわけでもありません。
ここが重要です。
SearchでIndexされていることは、
「このページを知っている」
という状態に近いものです。
AIの回答で使われるには、そこからさらに、
「この質問を支える情報として使う価値がある」
と判断される必要があります。
Google自身も、技術要件やBest Practiceを満たしていても、Crawl、Index、表示が保証されるわけではないと明記しています。 [1]
企業サイトを「引用できる情報」に変える
AI Visibilityを考えるとき、私たちはサイトを「キーワードを置く場所」ではなく、企業について確認できるEvidenceの集合として見る方が分かりやすいと考えています。
特にBtoBサイトでは、次の順序で確認すると問題を切り分けやすくなります。
- Crawlerがアクセスできるか
robots.txt、WAF/CDN、Bot Protection、JavaScriptなどを確認する。 - 重要ページが正しくIndexされているか
Search Console、Bing Webmaster Tools、Canonical、Sitemapなどを確認する。 - 会社が何者なのか明確か
所在地、対応市場、サービス、専門性、担当範囲を曖昧にしない。 - サービスを具体的に説明しているか
抽象的なBrand Messageだけでなく、「何を、誰に、どこまで提供するか」を明示する。 - 実績が画像だけになっていないか
課題、担当範囲、判断、プロセス、結果を必要な範囲で文章化する。 - その会社にしか書けない情報があるか
実体験、独自データ、比較、失敗、方法論などをContentとして残す。 - 外部情報と矛盾していないか
Business Profile、Bing Places、SNS、Directoryなどの基本情報を揃える。 - 古い情報を放置していないか
サービス、価格、スタッフ、技術、統計、営業時間など、時間とともに変わる情報を更新する。 - 実際に測定しているか
「AIに出るはず」と推測するのではなく、Search ConsoleやBing Webmaster Toolsで確認する。
この順序を見ると、AI Search対策のかなりの部分が、SEO、Information Architecture、Content Strategy、Branding、Analyticsの延長にあることが分かります。
だからこそ、私たちは「GEOという作業を追加する」より、「AIも含めて情報が正しく理解されるWebサイトにする」という考え方の方が実務的だと考えています。
AI Visibilityは、ようやく測れるようになってきた
少し前まで、AI Visibilityには大きな問題がありました。
測定方法がほとんどなかったことです。
ChatGPTやCopilotに自社名を何度も入力して、「今日は出た」「今日は出なかった」と確認するだけでは、運用指標としては不十分でした。
この状況は2026年に大きく変わりました。
Microsoftは2月、Bing Webmaster ToolsにAI Performanceを導入し、Microsoft Copilot、Bingの生成AI回答、一部のPartner experienceで、自社ページが何回引用されたか、どのURLが引用されたか、どのGrounding Queryで参照されたかを確認できるようにしました。 [4]

さらに6月には、Intents、Topics、Citation Share、Compareといった分析機能も追加されています。 [5]
Googleも6月にSearch ConsoleのGenerative AI performance reportを発表し、8月31日には世界中のサイトへ展開しました。AI による概要やAIモードなどで、どのページが表示されたか、Impression、Country、Device、Dateなどを確認できます。 [6]

9月には、画像を使ったMultimodal SearchについてもSearch Consoleで専用の分析が始まりました。 [7]

つまり、
「AIに出ていますか?」
という質問が、少しずつ
「どの情報が、どのAI体験で、どのように利用されていますか?」
という測定可能な問題に変わり始めています。
ただし、VisibilityとTrafficは分けて考える必要があります。
AIの回答内でブランドやページが使われても、必ずクリックされるとは限りません。
その場で会社名を知り、後日Brand Searchをしたり、LinkedInを見たり、別のChannelから戻ってくる可能性もあります。
AI Searchでは、従来の「Impression → Click → Session」だけで価値を判断すると、一部の影響を見落とす可能性があります。
結論:AIに見せるより、「選ばれる理由」を作る
自社サイトがChatGPT Search、AI による概要、AIモード、Copilotなどに出てこないとき、最初にllms.txtを追加したり、すべての文章をAI向けに書き直したりする必要はありません。
まず確認したいのは、
AIがサイトへアクセスできるのか。
重要なページがIndexされているのか。
会社やサービスが具体的に説明されているのか。
実績が画像だけになっていないか。
他では得られない経験や情報があるのか。
外部に存在する情報と矛盾していないか。
古い情報を放置していないか。
そして、それらを測定できているかです。
AI Searchへの対応は、特殊なPluginや1つの設定で完了する仕事ではありません。
SEO、Web Architecture、Content、Brand、Reputation、Structured Data、Analyticsなどがつながった結果として、その会社を人間にも機械にも理解しやすくすることだと考えています。
これまでSEOでは、
「Googleはこのページを見つけられるか?」
を考えてきました。
これからは、もう一つ問いを追加する必要があります。
「AIがこのページを見つけたとき、回答の根拠として選ぶ理由があるか?」
AI Visibilityを考えるうえで、最も重要なのはおそらくそこです。
自社サイトがAI検索でほとんど引用されない、あるいはSEO・サイト構造・コンテンツを含めて原因を整理したい場合は、現在のサイトと課題を共有いただければ、Go 5tudioで対応可能な範囲か確認します。
参考資料・公式情報
公式資料の確認日:2026年10月2日。機能や提供範囲は変更される場合があります。画面内の数値・ドメインは提供された説明用画像の表示であり、Go 5tudioの運用実績ではありません。

